著者自身の実際の体験が漫画でつづられたコミックエッセイ。
文章よりも手軽に読めて、自分とは違う人の生き方に共感したり異なる価値観を知ることができたりと新鮮な楽しさがありますよね。
特に家庭によって様々な形がある「子育て」や「夫婦関係」に関するエッセイ漫画はSNSなどでも大人気のジャンルです。
ただ、多種多様であるが故に内容によっては「共感できない」「自分には合わなかった」と感じてしまうことも・・・。
そこでこの記事では、60冊以上のコミックエッセイを読んできた私がおすすめする「夫婦・結婚生活」について書かれたエッセイ漫画の著者3名をご紹介します!
それぞれのプロフィールや家族構成、漫画の内容やどんな人におすすめかなどを解説するので、ぜひ自分に合ったコミックエッセイを見つけてください♪
1、【気楽に読めてためになる!】入江 久絵さん夫婦のコミックエッセイ
デビューから3冊続けて夫婦や結婚生活に関する本を出版されている入江久絵さん。
結婚生活に必要な知識を専門家から教わる、デビュー作の「結婚一年生」は40万部を超すベストセラーとなり、現在でも最新の情報に更新された年度版が刊行されています。
難しい情報も気楽に読ませてくれる、ゆるいタッチのイラストと気取らないキャラクターが魅力です。
では、著書の中から2冊をご紹介していきます!
①「結婚一年生」(サンクチュアリ出版,2007)
結婚一年生 2020-2021年版【電子書籍】[ 入江久絵 ]

新婚の夫婦に向けて、「お金」「健康」「マナー」「家事」など結婚生活に必要な情報をそれぞれの専門家に取材してまとめた一冊。解説ページも多く、読み物としても実用書としても使える内容。
ゆるく笑える雰囲気の好きな人
難しい内容を気楽に学びたい人
専門的な情報も欲しい人
特徴は全体に漂うゆるーい雰囲気。専門家の情報ページも多く難しい内容もあるのですが、可愛らしく時にシュールなイラストが散りばめられているので抵抗感なく読めます。
テーマごとに専門家が監修しているので、信頼感もばっちり!
さらに2018年以降はお金の情報などを最新のデータに直した年度版も出版されているので、情報が古くて使えないということもありません。
新婚夫婦向けとなっていますが、ライフプランシートが付いていたり住宅ローンや冠婚葬祭のマナーなども載っていたりするので、新婚以降も役立ちます。
レビューなどでは「絵が苦手」「ダメ主婦ぶりにひいてしまった」との意見も。
また、漫画部分の内容は発行当初のままのようなので、現在よりも「家庭のことは主婦がやるべき」という価値観が強い印象があります。(共働きのご夫婦なのですが・・・)
情報ページも結構なボリュームがあるので、純粋にエッセイ漫画だけが読みたい!という人には向かないかもしれません。
②「こんな嫁ですいません」(ワニブックス,2009)


前作で垣間見えた「ダメ主婦」っぷりに焦点を当てた一冊。「お料理編」「おうち編」「美容編」など、分野ごとに著者のへっぽこエピソードを多数収録。
ゆるく笑える雰囲気の好きな人
人の生活と比較して落ち込んでしまう人
同世代夫婦の仲良し感を楽しみたい人
2作目のこちらは、1作目の「結婚一年生」とは違って純粋なエッセイコミックです。
入江さんの特徴であるシュールで可愛らしい絵柄で、自身の「ダメエピソード」を紹介されています。
人には隠したくなりがちな失敗エピソードも包み隠さず公開してくれているので、SNSなどでキラキラな生活ばかり見て落ち込んでしまう・・・という人にも元気を与えてくれます!
また、本作では「恋愛編」もあり、旦那さんとのエピソードもたくさん載っています。同世代夫婦ならではの友人のような仲良し関係が微笑ましいです。
こちらにもズボラ生活のエピソードが含まれているので、苦手な方はご注意ください。また、「結婚一年生」のように専門家のお役立ち情報などは入っていないです。
2、【人気作家による待望の夫婦エッセイ】たかぎ なおこさん夫婦のコミックエッセイ
「ひとりたび」や「マラソン」を題材にしたエッセイ漫画で人気を集め、コミックエッセイブームの先駆けとも言える たかぎなおこさん。
ほのぼのとした可愛らしい絵柄と何事にも等身大で頑張る姿が魅力です。
2003年のデビューから長年追いかけているファンも多いたかぎさんですが、2015年にご結婚、2017年には女の子を出産され、新しく「夫婦生活」や「子育て」をテーマにした著書も発表されました。
それでは、著書を紹介していきましょう!
①「お互い40代婚」(KADOKAWA,2018)
長年ひとりぐらしを満喫していた著者が40代になって交際相手と出会い、結婚~妊娠・出産するまでの過程を描いた一冊。40代同士ならではの結婚生活の悩みや楽しみを赤裸々に紹介。
ほのぼのとした雰囲気の好きな人
晩婚や高齢出産について知りたい人
結婚~妊娠・出産までの一連のエピソードを読みたい人
表紙からも伝わってくる、ほのぼのとした雰囲気で人気のたかぎさん。
初めてのテーマに挑戦した本作でもその魅力は変わらず、悩んだり落ち込んだりするような場面があっても重くなりすぎません。
同じくのほほんとした雰囲気の旦那さんとは40代同士でのご結婚。
晩婚や高齢出産ならではのエピソードも盛り込まれているので、そういった情報を知りたい人にもおすすめです。
出会い~出産までの一連の話が収録されているため、人生の節目のストーリーをたっぷりと楽しめます。
レビューでは、「のろけ話が気になる」という感想も。仲良しエピソードが多いので、のろけ話でむず痒く感じてしまう方には向いていないかもしれません。
また、妊娠までの流れで不妊治療の話が登場します。
そういった話に抵抗感のある方はご注意ください。
②「おかあさんライフ。」(KADOKAWA,2020)
子どもの出産までを描いた前作に続き、0歳~1歳までの育児生活を紹介する一冊。あわただしくも幸せな40代夫婦の初めての子育てを描く。
夫婦での育児エピソードが読みたい人
ほのぼのとした雰囲気の好きな人
子育て系のコミックエッセイには母親がメインで父親はほとんど登場しないタイプも多いですが、この作品では夫婦で育児をしているエピソードがたくさん出てきます。
そのため、メインテーマは子育てですが、子持ちの夫婦生活の話としても楽しめる内容です。
出産・育児の大変だった話も描かれていますが、絵柄やご夫婦の人柄によって全体を通して穏やかで幸せな雰囲気が漂っています。
こちらの作品では子育てがメインテーマなので、母親と子どもだけの場面も多いです。
なので、子育ての話には興味がないという人にはあまりおすすめできません。
また、夫婦一緒に仲良く子育てしている環境なので、ワンオペで悩んでいるような状況のときに読むと少しつらく感じてしまうかもしれません。
3、【「当たり前」に新鮮な気づきを与えてくれる】水谷 さるころさん夫婦のコミックエッセイ
1976年生まれ
東京都在住
マンガ家・イラストレーター
夫婦(再婚同士・事実婚)+息子1人
年の差夫婦(共働き) HP:Salu-Page
世界一周をする旅番組に出演するなど、マンガ家・イラストレーターとしては異色の経歴を持つ水谷さるころさん。
私生活でも一度の離婚→二度目の結婚では事実婚を選ぶといった日本ではまだまだ珍しい選択をし、その体験をエッセイ漫画として出版。
可愛らしい絵柄ながら世間の価値観に惑わされず自分の意見をしっかりと持ったキャラクターで、自身の考え方や夫婦の在り方について発信されています。
では、著書の中から「夫婦・結婚生活」に関する2冊をご紹介していきます!
①「目指せ!夫婦ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで」(新潮社,2018)
お互いに離婚を経験し、今度は事実婚という選択をした夫婦が、「同じ過ちはしたくない」という思いの元、試行錯誤しながら産前産後を乗り越えていくお話。
事実婚・再婚同士といった一風変わった夫婦関係の話が読みたい人
妊活・保活など産前産後の情報を得たい人
夫婦そろって家事育児をするための方法を知りたい人
タイトルにもある通り「夫婦ツーオペ育児」を目指して、時には衝突し、話し合いを繰り返しながら夫婦生活を送っていく様子が描かれています。
事実婚で再婚同士という夫婦ならではの悩みや良いところが盛り込まれているので、興味のある方にはとても勉強になる内容です。
また、妊活や保活についても詳しい金額など具体的なエピソードが紹介されているため、これからの方に役立つ情報を得ることもできます。
夫婦の役割分担や快適な結婚生活を送るためのルール作りといった、一度離婚を経験しているからこそ生まれた様々な取り組みから、夫婦関係を維持するためのヒントをもらえます。
事実婚という特殊な夫婦関係のため、一般的な「法律婚」の方が自分の参考にしようと思って読むと少し合わないところがあるかもしれません。
また、「育児」より「夫婦関係」がメインなので、夫婦でほのぼのと赤ちゃんのお世話をしているような場面はほとんどありません。
(そちらを求める方には、先ほど紹介した たかぎなおこさんの「おかあさんライフ。」がおすすめです。)
不妊治療や夫婦喧嘩のエピソードも登場するので、苦手な方はご注意ください。
②「どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。」(幻冬舎,2019)
共働きの夫婦が「フェアな夫婦関係」を目指して試行錯誤する日々を描いた一冊。家事・育児について、夫婦がお互いに納得感のある分担をしていくための方法を紹介。
夫婦で分担して家事育児をする方法を知りたい人
夫婦での話し合いのコツを学びたい人
パートナーの気持ちや状況を知りたい人・知って欲しい人
こちらは先ほど紹介した前作とは違って「事実婚」ならではのエピソードはほとんどなく、一般的な夫婦でも参考にしやすい内容です。
性別で役割を決めつけず、また偏りすぎることのないように話し合いを繰り返し、「自分たちに合った家事・育児の分担」をすることを提案しています。
不満を感じることや夫婦喧嘩の原因を客観的に分析し、自分の悪いところは認めて改善策を一緒に考えるといった、話し合いのコツも学べます。
また、夫婦が衝突したときにも夫と妻それぞれの立場からの心境を描いているため、パートナーの気持ちの理解に繋げられるところも魅力です。
前半部分はタイトル通り「家事・育児シェア」について書かれていますが、最後に「ケンカ編」と題して夫が「キレる」癖を改善していくまでのエピソードが入っています。
このご夫婦らしく冷静に話し合って解決に向かうのですが、「キレる」表現が苦手な方は注意が必要です。
また、育児に積極的にスマホやタブレットを使用しているので、そういったものに抵抗感のある方もお気を付けください。
おすすめのアプリなども紹介されているため、逆に抵抗感のない方にはとても参考になります。
まとめ:自分に合った夫婦のエッセイ漫画を楽しもう!
この記事で紹介した3人の作家によるエッセイ漫画だけでも、それぞれの夫婦の特徴や書かれている内容は様々です。
年の差や夫婦の関係性、子育ての状況などが自分と似た夫婦に共感するもよし、まったく違う夫婦から新鮮な気付きを得るもよし。
その時々の自らの状況や心境にも合わせて、素敵なコミックエッセイを読んで気分が前向きになるような体験をしてもらえたら嬉しいです。
今回紹介した作品以外にもたくさんのコミックエッセイが出版されているので、ぜひお気に入りの作品を探してみてください。